(3)相続税、贈与税の納税猶予制度の充実 令和6年度税制改正では、特例承継計画の提出期限が令和8年3月末日まで2年間延長されたが、制度の適用期限(令和9年12月末日)は延長されなかった。贈与税の納税猶予制度の後継者要件として、「贈与の直前において3年以上役員であること」が挙げられていることから、余裕を持った事業承継が行えるよう、特例措置の適用期限を3年程度延長すべき。あわせて、事業承継がより円滑に実施できるよう以下の措置を求める。 ①猶予制度ではなく免除制度に改める。 ②平成29年以前の制度適用者に対しても要件を緩和するなど配慮すべき。 ③制度の認知度が低いことから、国は円滑な事業承継が図られるよう、経営者に向けた支援措置の周知徹底に努める。3.消費税への対応(1)インボイス制度は導入されたが、国は引き続き、事業者に混乱が生じないよう制度の周知を徹底するとともに、事務負担が軽減するような環境整備が必要。課税事業者が免税事業者と取引を行う際、取引価格の引き下げや取引の停止などの不利益を与えないよう、実効性の高い対策をとるべき。(2)消費税の滞納防止は税率の引き上げやインボイス制度の導入に伴ってより重要な課題となっている。消費税の制度、執行面においてさらなる対策を講じる。《税目別の具体的課題》1.法人税関係(1)役員給与の損金算入の拡充 ①役員給与は損金算入とすべき。 ②同族会社の業績連動給与についても損金算入とすべき。(2)少額減価償却資産の見直し 少額の減価償却資産の損金算入制度について、税制の簡素化、事務処理の簡便化の観点から、全ての制度を統合し、全ての法人について取得価額50万円未満は全額損金算入できるように見直すべき。(3)企業版ふるさと納税の適用期限延長 令和7年3月末日となっている適用期限を延長すべき。(4)中小企業向け賃上げ促進税制の適用要件緩和 経営環境が厳しい中小企業の持続的な賃上げを支援する観点から、賃上げ率の要件を緩和すべき。4.地方税関係(1)固定資産税の抜本的見直し ①商業地等の宅地を評価するに当たっては、より収益性を考慮した評価に見直す。 ②家屋の評価は、経過年数に応じた評価方法に見直す。 ③償却資産については、納税者の事務負担軽減の観点から、申告対象外となる「少額資産」の範囲を国税の中小企業の少額減価償却資産にまで拡大するとともに、賦課期日を各法人の事業年度末とする。 ④固定資産税の免税点については、平成3年以降改定がなく据え置かれているため、大幅に引き上げる。令和7年度税制改正に関する提言(法人企業関係を抜粋)-6-
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