岡山県法人会連合会会報No62
5/18

けて、歳出・歳入両面の改革をしっかりと進めていく」としていた。しかし、令和5年6月7日に示された「経済財政運営と改革の基本方針(案)」では、前年に続き2025年度としていたプライマリーバランスの黒字化目標年度の明示はなかった。 与党内においてプライマリーバランスの黒字化目標の「凍結」を求める意見もあるなど、財政問題の先送り感が否めない。 イ 過去を振り返ると、平成2年度予算において特例公債の発行から一時的に脱却できたものの、阪神・淡路大震災への対応等により、平成6年度以降、特例公債の発行が復活し、現在まで続いている。   政府は、平成14年度に、財政健全化目標を「特例公債脱却」から「国・地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化」に転換し、当初は「2010年代初頭に黒字化させることを目指す」とした基本方針が閣議決定された。   しかしながら、その基本方針はその都度変更され、当初黒字化を目指す2010年代初頭から10年以上を経過している。   その間、平成20年のリーマンショック、平成23年の東日本大震災などがあったものの、今後到来する「2025年問題」等も考えると、財政健全化はこれまでのように先延ばしできない問題と考える。   財政健全化に向けて危機感を持って対応すべきである。 ロ 令和5年度予算編成の基本方針(令和4年12月2日閣議決定)では「骨太方針2022を踏まえ、新経済・財政再生計画の改革工程表を策定し、EBPM(証拠に基づく政策)やPDCAの取組を推進し、効果的・効率的な支出を徹底する」としているが、絵に描いた餅となることを危惧する。   効果的な方策、期限のある具体的な目標を策定し実施、進ちょく・達成状況をきめ細かく検証し、国民に向けて分かりやすく説明することを確実に実行するよう強く望む。(2)社会保障制度に対する基本的な考え方 イ 持続可能な社会保障制度の確立   租税の原則のひとつである「公平」は、社会保障制度についても同様に求められる。   選挙権を行使する割合の高い老年層等に偏ることなく、もの言わぬ若年層にも目を向け、すべての世代が安心感と納得感の得られる「全世代型」の社会保障制度の確立が望まれる。   財源等は限りがあるため、改革には痛みを伴う場合もあるものと思料する。   しかし、私利私欲のない信頼性のおける議員が、大所高所から将来を見据えて強い意思を持ち改革を進めるのであれば、国民は痛みを受け入れることができるものと考える。  (イ)昨年の11月から12月にかけて岡山県連に寄せられた意見では「給付水準をある程度引き下げ、現行の負担を維持する」としたものが34%(一昨年より2ポイント増加)、「現行の給付水準を保つため、ある程度の負担の増加はやむを得ない」としたものが33%(一昨年より5ポイント減少)となっている。     一昨年より「ある程度の負担の増加はやむを得ない」としたものが5ポイント減少したものの3分の1は占めている。     そこで、国民に対し十分な説明を行った上で、「中福祉・低負担」から「中福祉・中負担」への移行を速やかに行うよう求める。  (ロ)健康保険料限度額の制度は、超高額所得者層の負担割合を低くしていることから、限度額の引き上げを求める。OKAYAMA 県法連会報|NO.62-5-

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る