県法連会報51号
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-4-平成三十年度  税制改正に関する 提言(要約) 《基本的な課題》Ⅰ.税・財政改革のあり方一.財政健全化に向けて ㈠消費税率十%への引き上げは、財政健全化と社会保障の安定財源確保のために不可欠である。国民の将来不安を解消するために、「社会保障と税の一体改革」の原点に立ち返って、二〇一九年十月の税率引き上げが確実に実施できるよう、経済環境の整備を進めていくことが重要である。 ㈡「骨太の方針二〇一五」では、歳出面で二〇一六年度から十八年度までの三年間で政策経費の増加額を一・六兆円(社会保障費一・五兆円、その他〇・一兆円)程度に抑制する目安を示した。この二年間においては目安を達成していることから、最終年度においても政策経費の抑制は確実に行うべきである。 ㈢財政健全化は国家的課題であり、歳出、歳入の一体的改革によって進めることが重要である。歳入では安易に税の自然増収を前提とすることなく、また歳出については、聖域を設けずに分野別の具体的な削減の方策と工程表を明示し、着実に実行するよう求める。 ㈣消費税についてはこれまで主張してきたとおり、税率十%程度までは単一税率が望ましいが、政府は税率十%引き上げ時に軽減税率制度を導入する予定としている。仮に軽減税率制度を導入するのであれば、これによる減収分について安定的な恒久財源を確保するべきである。 ㈤国債の信認が揺らいだ場合、長期金利の急上昇など金融資本市場に多大な影響を与え、成長を阻害するうえ財政の悪化要因にもなる。政府・日銀には市場の動向を踏まえた細心の運営が求められる。二.社会保障制度に対する基本的考え方 社会保障分野では団塊の世代すべてが後期高齢者となる「二〇二五年問題」がクローズアップされてきた。医療と介護の給付急増が見込まれるためで、これを「重点化・効率化」によって可能な限り抑制し、かつ適正な「負担」を確保していかなければ、社会保障制度が立ち行かなくなる。 ㈠年金については、「マクロ経済スライドの厳格対応」、「支給開始年齢の引き上げ」、「高所得高齢者の基礎年金国庫負担相当分の年金給付削減」等、抜本的な施策を実施する。 ㈡医療については、成長分野と位置付け、大胆な規制改革を行う必要がある。給付の急増を抑制するために診療報酬(本体)体系を見直すとともに、薬価の実態を反映させるよう、二年に一度としてきた薬価の改定を毎年実施する。さらに、政府目標であるジェネリックの普及率八十%以上も早期に達成する。 ㈢介護保険については、制度の持続性を高めるために真に介護が必要な者とそうでない者にメリハリをつけ、給付及び負担のあり方を見直す。 ㈣生活保護については、給付水準のあり方などを見直すとともに、不正受給の防止などさらなる厳格な運用が不可欠である。 ㈤少子化対策では、現金給付より保育所や学童保育等を整備するなどの現物給付に重点を置くべきである。その際、企業も積極的に子育て支援に関与できるよう、企業主導型保育事業のさら

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